頼りない夜に一つの光を

愛しきアイドルたちよ、幸せであれ

"特別"をくれる人。

 

ジャニーズが行うライブには"ファンサ"という文化がある。(知ってる)

 

私は根っからのジャニオタで様々なグループの様々な現場に通ってきたので、いわゆる"ファンサがえぐい"と言われるアイドルを何人もこの目で見てきた。桐山照史くん会話をするかのような色んな意味でヘビー級のとんでもないファンサや、田中樹(あえて呼び捨てにしたい)の真正面で食らったらひとたまりもない殺傷能力MAXのファンサや流れるように高速で繰り出される「おまそれ動体視力どうなってんの?」と思う永瀬廉のファンサなど、様々なアイドルが各々のスタイルでファンサをしているのを見るのが好きだ。

そしてそれを受け取って崩れ落ちたり、連番している友達と大興奮していたり、時にはファンサを返す強いファンがいたり、これまた様々な反応を見せるファンを見るのも好きだ。

 

そんな中で、私の自担である加藤シゲアキさんは「シゲはファンサをしないよね」とよく言われているのを目にする。実際に私も、他担の友達や他Gの友達に言われたことがある。

確かに、目を引くような派手なファンサや、担当関係なくその場を沸かせる「〜して」系の要望うちわに応えるファンサはしない。「釣って」には反応することもあるけれど、それも強いて言えば、という印象。

「じゃあファンサ曲中、加藤シゲアキは一体何をやっているのか?」そう思う人も少なくないだろう。「手は振っているようだけれど、それははたしてファンサと呼べるのだろうか?」そう思う人も少なくないだろう。けれど加藤さんは、ただぼんやり客席に向かってなんとなく手を振っている訳じゃない。加藤さんは、あの瞬間確かに"ファンサ"をしている。

 

過去に加藤さんは雑誌で、自分のファンではない人にファンサしてるメンバーを「みんなに楽しんでほしいっていう発想だからそれはそれで正しい」と評した上で、「俺は絶対にしない!その時間に自分のファンを幸せにしたいって思うもん」と語っていた。

私はそれを身をもって体験したことがある。

 

去年のツアーSTORYの日程には、メンバーである小山慶一郎さんの誕生日当日に公演があった。(中止になってしまった誕生日公演に当選していたはずの)小山担の友達の想いが通じて再び当選が叶い、私もその貴重な公演に一緒に参戦させてもらうことになった。小山さんの誕生日公演を盛大に祝うべく、紫のワンピースを身に纏い、小山さんへの溢れんばかりの愛を表現したうちわを持ち、どこをどう切り取っても"小山担"にしか見えないオタクとして私はマリンメッセにいた。そして引いた席は、ありがたいことにこれ以上ないほどの良席で「絶対小山さん気づいてくれるね」と小山担の友達と手を取り合って喜んだ。

そうして開演したライブ中、やっぱり小山さんは気づいてくれて、私たちが持つうちわを指して笑って手を振ってくれた。小山担の友達の2年越しの想いがちゃんと届いたことが、私はなにより嬉しかった。

 

ライブが終盤に向かっていくにつれて、ふと気がついた。「そういえば加藤さん全然こっち見ないな」

花道あるいはステージから見れば絶対に視界に入る。そう思えるくらいの良席だったのに、どう見ても"小山担"の私を加藤さんは見向きもしなかった。視界の端にすら入れてもらえなかった。何の感情も宿さない目でチラッと一瞥されたことだけ、はっきりと覚えている。衝撃だった。

それは加藤さんからすればいつものことなのだろうし、私もその日は"小山担"として参戦していたので悲しく思ったり寂しく感じたり、ましてや憤りを感じたりなんてしなかったけれど、いつも向けられていた穏やかで柔らかな視線と、とろけそうなくらい甘くて優しいあの笑顔は、"加藤担"にだけ向けられる特別なものなんだと改めて知った。

 

私は加藤さんから過去に2度"ファンサ"をもらったことがある。

1度目は、WORLDISTAの長野公演。ただでさえ優しい顔をして微笑みながら歌う『Love Story』の曲中に加藤さんと目が合った…と思った時にはさらに甘く優しい顔して「ふふっ」と笑って「うん、ちゃんと見えてるよ」とでも言うかのように大きく頷いてくれて。さらに、「君にそうずっと〜」の振り付けのところでこっちを指差してくれた気がして(るような自分こわい)。「どうして…なんでそんなに優しい顔してこっち見るの…」と頭を抱えてしまいたくなるほどに、加藤さんは甘く優しく笑ってくれました。(たぶん)

2度目は、つい先日。音楽の大阪公演。その時の状況について詳しく書こうとするとネタバレになってしまうので伏せますが、公式の顔うちわを持って小さく手を振る私と連番していた加藤担の友人を見つけてくれました。

 

こんなことを言ったら「甘い」とか「そんなんで良いの?」と思われるのかもしれないけれど、そもそも「加藤さんからファンサがほしい」という欲がないに等しい私にとっては、加藤さんが「ファンに会う場だから」という理由でライブの時だけ香水をつけてきてくれたり、バラエティや雑誌では見られないピアス+リング等のアクセサリーを毎回つけてきてくれたり、ライブの前半と後半で髪型を変えてくれたりすること自体がこの上ないファンサだと思っているので、それ以上のことなんて望んでいない、というのが正直なところだったりする。アイドルとしてステージ上で輝く加藤さんを今もなおこうして応援出来ること。それだけで他に何もいらないと本気で思っている。

けれど当の本人である加藤さんは「自分のファンを幸せにしたい」という思いから、ライブ中ずっと"自分のファン"を探している。そうして見つけた"自分のファン"に対して、一人一人丁寧に目を合わせて、他では見たことのないくらい穏やかで柔らかで甘くて優しい表情で笑って、手を振ってくれる。持っているうちわが公式の顔うちわであっても、名前うちわであっても、年齢も性別も容姿も関係なく、"加藤担"に平等に手を振って笑いかけてくれる。「ありがとう」と口パクで想いを直接伝えてくれる。

 

もうすぐ20周年を迎えるベテラングループのメンバーとして、今もなお現役のアイドルとしてステージに立ち続けている人が、ライブに足を運ぶファンに対して「自分のファンを幸せにしたい」という純粋な思いで向き合っているということ。奇跡のような、嘘みたいな話だなと思う。

 

まだ始まったばかり、これから続いていく音楽ツアーでも、きっと加藤さんは"自分のファン"を探し続けるのだろう。そして"自分のファン"にだけ伝わる表情で、仕草で、愛を伝え続けてくれるんだろう。

私はそんな加藤さんの"ファンサ"が大好きだ。